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ご 挨 拶
財団法人名古屋産業科学研究所
研究部長  澤木宣彦

 名古屋産業科学研究所に研究部が創設され3年を経過しました。研究部は研究所の研究機能を強化充実させることを目的として、従前の研究所本山分室を拡充改組して設立され、以来、中部ハイテクセンター、中部TLOとともに当財団の3つの部門の一つとして活動を展開しております。

 新しく生まれ変わった研究部では、永年に亘って実施してきました中部地区の各大学でご活躍の先生方による産業界からの受託・共同研究に加えて、各大学あるいは企業で研究開発に携わってこられた名誉教授・企業OBの方々が、その経験と実績を基に、産学官連携事業でご活躍頂いておられます。

 世界経済は、米国のサブプライム問題に端を発した世界的な危機から脱却し、再び成長の兆しが見えてきました。それは、我が国政府が主導するエコポイント制度などによる内需拡大とともに、中国などアジア諸国の急速な発展にあるといわれております。しかし、平成22年度はその年度末に当たる時期に、関東東北大震災による巨大津波と福島原子力発電所の事故が重なり、我が国は未曾有の試練を受けることとなりました。安心安全を目標に掲げ、環境をテーマとした新しいコンセプトに基づく「ものづくり」の創出をめざして参りましたが、今般の災害は、工学に携わる者にその創造物に掛かる責任を問いかけております。新しい時代を拓くものづくりの創出には、真の安心安全を機軸とした学術と技術の調和が必要であり、産業界と学界との協働・協奏が今まで以上に強く求められることでしょう。

 このような状況の下、3年を経過した研究部では、名誉教授あるいは企業OBの方々が、上席研究員として、その豊富な経験を生かし、文部科学省科学研究費補助金、あるいは経済産業省、NEDOなどの国機関の支援を受けて、環境ものづくりに係る産学官連携研究開発プロジェクト等を実施してまいりました。本報告書は、そのような活動を年次報告として取り纏めたものです。ご高覧いただきご意見を頂ければ幸甚に存じます。本研究部の活動に皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。