2016年9月13日(火)産業科学フォーラム2016を開催しました。
日 時 9月13日(火)午後1時30分~5時
場 所 名古屋大学ベンチャービジネス棟ベンチャーホール
テーマ エネルギーをめぐる動向―
趣旨:太陽熱,風力,バイオマスなどの再生可能エネルギーに加えて、新エネルギー(New Energy Resource)が注目されている。新エネルギーとは、エネルギー源として新しいもの(未利用のものも含む)、燃料電池のように利用形態として新しいものの総称である。再生可能エネルギーや新エネルギーは、CO2の排出が少ないこと等環境へ与える負荷が小さく、持続可能な経済社会の構築に寄与する。エネルギー研究の現状を整理し、今後の可能性など日本の動向を見据えたい。
挨拶 1時30分~1時40分 (主催者)
講演 1時40分~2時40分 (森 滋勝 上席研究員)
 タイトル:わが国のエネルギーとバイオマス
講演概要:まず、再生可能・未活用エネルギーの定義と、バイオマス資源の種類と発生量、および、 その利用状況を概説し、各種バイオマスのエネルギー利用技術の現状と問題点を解説する。さらに、我が国のエネルギー利用 の現状について紹介し、バイオマスを含む再生可能・未活用エネルギーのみでは、我が国のエネルギー消費量の最大でも 25%程度しか賄う事が出来ないことを指摘する。
講演 2時40分~3時40分 (森田健治 上席研究員)
 タイトル:MeV重イオン加速器を用いた固体Liイオン電池の研究
講演概要:現在、リチウムイオン電池は、携帯電話、パソコン、スマートフォン、i-Pad等の 携帯用機器の電源として広く使用されている。このLiイオン電池は、電解質に有機溶媒が使用されているため、高負荷 における過負荷時に、発火の危険性を内包している。このため、有機溶媒を不燃性の固体セラミックスに代えた、 全固体Liイオン電池の研究開発が行われている。
筆者らは、ここ数年、電気化学的データに加え、充・放電時の電池内のLiの動的挙動を、重イオンビーム分析を用いて、Li濃度分布を直接、その場測定することにより調べてきた。その結果を紹介する。

講演 3時55分~4時55分 (丹羽 幹 上席研究員
 タイトル:燃料電池触媒、あれこれ
講演概要:ご承知のように、現在大変に注目を集めている水素燃料電池ですが、はたして エネルギー の利用と環境の保全の 観点から本当に素晴らしいものであるかどうか、化石燃料の代替となりうるもの なのか、太陽光や風力などの自然エネルギー を凌駕するものか、いずれも疑問のあるところです。その概要,背景 などを学び,今後の参考にしたい。

鈴置研究部長の挨拶

会場風景

講演中の森上席研究員

講演中の森上席研究員
詳細な資料を基に、再生可能エネルギーの現状について解説され、バイオマスエネルギー利用技術の問題点や課題についてコメントされた。

講演中の森田上席研究員

講演中の森田上席研究員
電解質セパレータの深さ方向のLiイオン濃度を9MeV O4+ イオンビームを用いて詳細に測定した結果を報告された。

講演中の丹羽上席研究員

講演中の丹羽上席研究員
現在燃料電池に用いられているH+ 透過膜の問題点やキーとなる水素の製造における課題などを分かり易く紹介された。