公益財団法人  名古屋産業科学研究所
 第27回産業科学フォーラム
開催報告・講演概要

 日 時 : 平成27年1月22日(木)14時~15時15分
 場 所 : 名古屋大学 VBL棟(4階)セミナー室
 趣 旨 : 今までの研究開発モデルでは、グロ-バルな時代の産業競争力を強化・発展させるのは困難となっている。イノベーション創出に向けて、企業・大学のこれからの研究開発モデルについて考える。
  講演プログラム
 挨 拶 (14:00~14:05) 主催者
 講 師 (14:05~15:15) 虎澤研示 上席研究員・名古屋大学特任教授
(学術研究・産学官連携推進本部 地域連携・情報発信グループ グループリーダー)
講演タイトル:「イノベーションと産学官連携」
   <講演概要>
 発明協会が2014年7月に選定した「戦後日本のイノベーショントップ10」および「イノベーション100選」をはじめ、多くのイノベーションが戦後日本の社会・経済の発展をもたらしてきた。青色LEDも大学の基礎研究が産学官連携によってイノベーションに結び付いた非常に良い例である。わが国が引き続き産業競争力を維持・強化し、発展していくためにはイノベーションが必要である。
 一方、研究開発レベルの高度化、研究開発投資費用の高額化、グローバルな企業競争の激化に伴い、一企業内に閉じた垂直統合的なあるいはリニアな研究開発モデルでは企業は競争力を維持し続けることが困難となってきており、オープンイノベーションの時代を迎えている。産学官連携はこの潮流のひとつとして捉えることができる。企業においては単なる研究管理ではなく研究企画の業務が重要になってきている。
  一方、大学は、新たな知の宝庫として自由・オープンで多様性や異質性を受容する文化を有するが故に、イノベーション創出に不可欠な存在である。大学にとって運営費交付金が年々削減されていく中で、教育研究の質を高めていくためには、政府等の競争的資金や企業からの研究資金の獲得が必要であるし、また、大学の研究成果を社会に還元させ、大学が社会貢献を果たしていく上でも産学官連携は非常に大切なことである。本年4月に名古屋大学に完成する新たな産学官連携拠点である「ナショナル・イノベーション・コンプレックス施設」は、「アンダーワンルーフ」と「バックキャスト型研究開発」という従来にない特徴を持っており、新たな産学官連携モデルとして大いに期待される。そして、大学内において産学官連携を推進する研究企画人材としてリサーチアドミニストレーターの役割が期待される。
 一方、イノベーションを創出した優れた経営が次の時代には足かせとなって往々にして失敗につながる要因となり、経営の難しさがある。私たちの国や地域がこれを乗り越え、永続的に発展していくためには、社会に「エコシステム」を構築することが重要である。
【連絡先】
氏名:虎澤研示
所属:名古屋大学 学術研究・産学化連携推進本部 地域連携・情報発信グループ
役職:特任教授 グループリーダー
TEL:052-747-6787  E-mail:torazawa@aip.nagoya-u.ac.jp